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グアテマラで死ぬかと思った出来事【3選】

こんにちは。あさうみです。
今回はグアテマラ滞在中に死ぬかと思った3つの出来事をまとめました。

【第3位】トリプルパンチ

グアテマラでの日々は腹痛と共にあったといっても過言ではない。滞在初日、街のパン屋で買った美味しそうな惣菜パンを食べてハライタに襲われた瞬間、わたしは悟ったのだ。
あ、この国の食べ物やばいぞ──。

もちろんやばいというのは味のことではない。むしろ味は美味しい。けれどわたしのお腹はグアテマラの食べ物と相性が悪かった。それからわたしは連日のように腹痛に見舞われた。日本から持参した食料が底をつき、“美味しいものほど食当たりしやすい”という奇妙な法則性に気づきはじめたある日、事件は起こった。

例のごとく食当たりである。無論、食当たりだけなら何のことはない。いざ尋常にトイレトイレ〜!といつものように部屋を出た瞬間、不意に電気が消えた。
停電だ。この国ではよくあることだ。

さほど気にせずに共用トイレへ向かう。途中、洗面所で“念のため”水道の蛇口をひねってみる。水は出なかった。
断水だ。この国ではよくあることだ。

わたしは天を仰いだ。こんなときに限ってトイレが使えないだと──。
立ち尽くしていてもしょうがないので、ひとまず部屋へ引き返した。電気の点かない部屋は暗闇と化していた。その闇のなかで、わたしは停電・断水・食当たりのトリプルパンチを懸命にやり過ごした。

【第2位】行き先、死者の国?

グアテマラでの日々は腹痛と共にあったと述べたが、それは食あたりに限ったことではない。今度の悲劇は、ティカル遺跡へと向かう夜行バスの中で起こった。

単刀直入に言えば、夜行バスに乗っていた12時間、謎の腹痛に襲われ続けた。
なんだそれだけかと思うかもしれないが、あれは本当に苦しい時間だった。胃に穴が空いたような、壮絶な痛みが12時間も継続したのである。夜行バスに乗る前は食事を抜いていたので、食あたりではないことは確かだった。原因不明なだけに、何か良からぬ病気になったのではと不安が募る。

「てぃかるなんていきたくない、にほんにかえりたい、おうちにかえりたい、おかあちゃん……」わたしの精神は退行していた。同行者のお姉さん(語学学校で仲良くなった)が暗い車内で「腹痛に効く薬はありますか?」というスペイン語訳を懸命に調べてくれていた。痛みで意識が朦朧とするなか、わたしは「このバスはティカルではなく実は死者の国に向かっているのでは?」と本気で疑った。

地獄のように長く感じた夜も、いつかは明ける。そう、明けない夜はないのだ。空が明るくなり、ほどなくしてバスはティカル観光の拠点となる町フローレスに到着した。
「とりあえず薬局を探してみようか」と、お姉さんが声をかけてくれる。お姉さんの優しさと、自分の不甲斐なさに涙が出てくる。

ところがバスを降りると異変が起こった。
今思い返してみても本当に意味が分からないのだが、バスを降りた瞬間、腹痛がぱったり治まったのである。きれいさっぱり痛みが消えた。わたしは困惑した。お姉さんも困惑した。これまでの苦しみはなんだったのか。

何はともあれ、その後わたしたちは元気いっぱいでティカル遺跡を楽しんだ。本当にお騒がせ野郎である。

【第1位】ワイルドスピード・リアルミッション

グアテマラで死ぬかと思った出来事、ぶっちぎりの1位はこれだ!

ある週末、わたしは語学学校で仲良くなったお姉さん(のちにティカル遺跡も一緒に行くことになる)と、パナハッチェルという湖畔の街に出かけた。出発は朝早く、わたしたちは指定された場所で送迎バスを待っていた。しかし待てども待てどもバスは来ない。さすがにおかしいと思いバス会社に問い合わせると、なんとドライバーのピックアップミスでわたしたちは置いてけぼりにされていた。

その後自家用車ですっ飛んできたバス会社の人が、すでに出発してしまったバスのところまでわたしたちを送り届けてくれた。当のやらかしドライバーは悪びれる様子もなく「さあ乗った乗った!」と、わたしたちをバスに押し込もうとする。だがちょっと待ってくれ、これはそもそもバスじゃない。せいぜい10人乗りがいいところのバンだ。しかもそのバンにはすでに溢れんばかりの乗客が乗り込んでいた。どう見ても定員オーバーである。そんなことなどお構いなしにドライバーは同行者のお姉さんを後部座席に押し込み、わたしを運転席と助手席の間にねじ込んだ。わたしがねじ込まれた場所はもはや席とも呼べない、席と席の隙間だった。助手席に座っていた欧米系のお姉さんがこれみよがしに溜め息を吐く。こわい。これが本当の「肩身が狭い」である。

それからバス、という名ばかりのバンはパナハッチェルに向けて爆走した。ドライバーがギアチェンジするたびに、わたしの脛はダメージを受けた。わたしが座らされているのは運転席と助手席の隙間なので、ギアをガッと変えるとわたしの脛にもギアがガッとなるのだ。「だから痛いって言ってんじゃん…」と、聞き届けられることのない愚痴が何度もこぼれた。

バンはやがて山道へと突入した。キツい急カーブを幾度となく繰り返して、うねうねと山を登っていく。猛スピードで山道を駆け上っていくバンに、わたしは冷や汗が止まらなかった。というのも、その山道には“車線”というものが存在しなかった。そのため山道を下ってくる対向車とギリギリですれ違う、というイベントが何度も発生していた。

もし衝突したら…と、考えずにはいられなかった。
そして、悪い予感ほど的中してしまうのはなぜだろう。

不意にバンの前方を走っていた車が、カーブの先から飛び出してきた対向車と接触した。コンマ数秒後、宙で横転した対向車がわたしたちのバンに迫る。世界がスローモーションになった。

こんなところで死んでたまるか──
その一心で、わたしは身を屈めた。

次の瞬間、直撃するかと思われた対向車はバンの横スレスレを通過して逆さまの状態で道路に叩きつけられた。わたしたちを乗せたバンは路肩に急停車した。
助かった──。乗客たちは皆一様に胸をなでおろした。

だが安堵も束の間、ドライバーはバンから飛び降りると一目散に事故車に駆け寄った。後続の車からも続々と人が降りてくる。わたしを含め呆気に取られた乗客たちは、その光景を見ていることしかできなかった。

事故が起きたのは山の中。警察や救急隊が簡単に駆けつけられるような場所ではない。現地の人々はそのことをよく分かっていたのだろう。数人が事故車へと駆け寄り、車内にいる人を救出する。奇跡的に乗っていた人は無事だった。すると今度は何人かが山林へと走っていく。何をするのかと思えば、若木や枝を担ぎ出してきて、それを少し離れた道路に置く。そして一人の青年が道路の真ん中で力一杯に木の枝を振りかざし、交通整理をはじめた。

語弊があるかもしれないけれど、わたしはこの出来事に遭遇してよかったと思っている。偶然にも乗り合わせたバンは、良くも悪くもグアテマラという国を垣間見せてくれた。グアテマラ人の咄嗟の状況判断と行動力は、たくましくてかっこよかった。

まとめ

20歳のとき、初めての海外一人旅で訪れたグアテマラ。いきなりハードな国を選んでしまった若気の至りに、我がことながら驚く。

グアテマラでの苦難を思えば、乗り越えられないことなど決してない。当時の日記をこうして書き起こしていると、過去の自分に発破をかけられる。がんばろう。

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