こんにちは。あさうみです。
今回はイタリアの世界遺産「ポンペイ遺跡」をご紹介します。
もくじ
ポンペイ、エルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの考古地区

ポンペイ遺跡は、正式には「ポンペイ、エルコラーノ、トッレ・アヌンツィアータの考古地区」という名称で世界遺産登録されています。
登録範囲の大部分を占めるポンペイと、その近郊にあるエルコラーノとトッレ・アヌンツィアータという地域を含めた広大な範囲が世界遺産です。

イタリア南部ヴェスヴィオ山近郊に位置するポンペイは古代ローマの商業都市として繁栄しました。
ポンペイは1900年以上前の街とは思えないほど先進的な計画都市でした。
大広場を中心とした街には市場や神殿、市庁舎、野外劇場、娼館、公共浴場、給水設備などがあったことが分かっています。
また、街路はきちんと歩道と車道に分けて舗装されており、住居も整然と並んでいました。

栄華を極めたポンペイでしたが…西暦79年に悲劇が襲います。
ヴェスヴィオ山の噴火によって大規模な火砕流が発生すると、ポンペイは逃げ遅れた約2000人とともに火山灰の下に埋没し、一瞬にして滅びてしまいました。
その後1748年に発掘が開始されるまで、ポンペイは当時の様子を留めたまま地中に埋まっていました。
そのため多くの遺構が風化することなく、非常に良い状態で保存されています。
ポンペイ遺跡は古代ローマの暮らしや文化を伝える貴重な遺産として、1997年に世界文化遺産に登録されました。
- 文化的伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産
- 建築様式や建築技術、科学技術の発展を示す遺産
- 独自の伝統的集落や、人類と環境の交流を示す遺産
ポンペイ遺跡の見どころ
ポンペイ遺跡は広大で、たくさんの見学スポットがあります。
行き当たりばったりで散策するのも悪くはないですが、ポンペイ遺跡では見学したい場所は事前にチェックしておくことをオススメします。
ここからは、私が実際に見学してきた見どころスポットをご紹介します!
フォロ(Foro)・ジュピター神殿(Tempio di Giove)

フォロは大広場を意味し、周囲には法廷や神殿、市場、浴場などが並んでいました。
ポンペイの中心地として栄え、遺跡見学の際もフォロを起点にすると分かりやすいと思います。
ジュピター神殿はフォロに隣接しています。
現在では柱が数本立っているだけですが、背後にはヴェスヴィオ山を望むことができ、ポンペイ遺跡らしい写真が撮れるスポットとして人気です。(本記事のアイキャッチ画像もジュピター神殿です)
ヴィーナスの家(Casa della Venere)

ヴィーナスの家では、愛と美の女神ヴィーナスとキューピッドが描かれたフレスコ画を見ることができます。
この壁画は非常に保存状態が良く、美しい青色のフレスコ画は一見の価値ありです!
また、ヴィーナスの家をはじめポンペイ遺跡の邸宅は、アトリウムやペリスティリウムと呼ばれる中庭をそなえていることが多いです。
古代ローマならではの開放感のある住宅建築にも注目です。
小さな噴水の家(Casa della Fontana Piccola)

小さな噴水の家は、建物入口から奥の庭園にある噴水を眺められるように設計されています。
これは所有者の社会的地位の高さを表していると考えられています。
この邸宅を象徴する噴水は近年修復されたもので、色鮮やかなモザイクと貝殻の装飾が特徴的です。
ちなみに噴水の右下にあるブロンズ像は漁師を表しているそうです。なんだかシュールでした。
スタビアーネ浴場(Terme Stabiane)


スタビアーネ浴場は、ポンペイ遺跡のメインストリートであるアボンダンツァ通り(Via dell’Abbondanza)沿いに面しています。
この浴場はポンペイ遺跡にある浴場跡のなかでも最も保存状態が良いとされています。
男女別に分かれた浴室には美しい壁画装飾が施されており、低音・中温・高温と温度別の浴室が用意されていました。

入口から入ってすぐの広々とした中庭は、入浴前に一汗かくための運動場として使用されていたそうです。
ほかにも浴場の敷地内には食堂やマッサージ室、プールなどもあり、お風呂好きで知られる古代ローマ人の生活を感じることができます。
秘儀荘(Villa dei Misteri)


秘儀荘ではポンペイ遺跡で最も有名なフレスコ画のひとつ「ディオニュソスの儀式」を見ることができます。
ディオニュソスはギリシャ神話に登場する豊穣の神なのですが、当時のローマではギリシャの神であるディオニュソスを信仰することは禁止されてたそうです。
しかし、秘儀荘では密かにディオニソス信仰に関わる儀式が行われていたと考えられています。
上流階級のヴィラ(別荘)として建てられた秘儀荘は、ポンペイ遺跡の北側に位置しています。
フォロからは徒歩15分ほどの距離にありますが、足を延ばしてでも行きたいおすすめスポットです!
オーディオガイドは必要?

ポンペイ遺跡はどこも似たような趣きをしているので少々分かりづらいのが難点。
目指していたはずの場所を通り過ぎていた…重要な展示物をスルーしていた…なんてこともあると思います。
そんなときに助っ人となるのがオーディオガイドなのですが…
ポンペイ遺跡のオーディオガイドは、かなり難解な日本語が使われています(笑)
とにかく一文一文が異様に長く、自動翻訳…?感が否めない。
言いたいことは分かるけれど、説明がスッと頭に入ってこないというかなんというか…
個人的な意見にはなりますが、オーディオガイドはマストで借りる必要はないかなと思いました。(私が訪れたのは2018年なので、そこから改良されている可能性はあります…!)
ですが、ただ遺跡を見て回るだけというのはもったいない…!
知識があればより楽しく有意義な見学になると思うので、ポンペイ文化財保護局が発行しているポンペイ遺跡ガイドをダウンロードしたり、ガイドブックを携帯するのがおすすめです!
ナポリからポンペイ遺跡までのアクセス

ポンペイ遺跡の周囲には複数の駅がありますが、遺跡見学をするならヴェスビオ周遊鉄道のポンペイ・ヴィッラ・ディ・ミステリ駅で下車することをおすすめします。
駅至近にポンペイ遺跡のエントランスがあるので大変便利です。
ナポリ・ポルタ・ガリバルディ駅(ナポリ中央駅)からポンペイ・ヴィッラ・ディ・ミステリ駅までは25〜40分ほどで到着します。
上の写真からもお察しかと思いますが、ヴェスビオ周遊鉄道はやや治安が悪いといわれています。
ですが、ナポリ-ポンペイ間は観光客が多く乗り合わせているのでそれほど心配する必要はないと思います。
また、カンパニアアルテカードを所持している場合は、ナポリ-ポンペイ間のヴェスビオ周遊鉄道の交通費と、ポンペイ遺跡の入場料が無料になるのでぜひご活用ください!
- 住所
- Vicolo del Panettiere, 80045 Pompei NA
- 営業時間
- 9:00-19:00
- 定休日
- 12/25・5/1・1/1
- 入場料
- Pompeii Plus:22€
- Pompeii Express:18€
- ※毎月第一日曜日は入場無料
- Webサイト
- http://pompeiisites.org/en/
- 備考
- 見学範囲や時期によって営業時間・チケット料金などが異なるためWebサイト要確認
余談:マジック・ツリーハウスに導かれて
以上、ポンペイ遺跡の魅力や見どころスポットなどをご紹介してきました。
私がポンペイ遺跡のことを初めて知ったのは、幼い頃に「マジック・ツリーハウス 第7巻 ポンペイ最後の日」(メアリー・ポープ・オズボーン)を読んだときでした。
私は「マジック・ツリーハウス」シリーズが大好きだったのですが、そのなかでも特に印象に残っているのがこのエピソードです。
「ポンペイ最後の日」は火山の噴火によって今にも滅びようとしている古代都市ポンペイを舞台に、ハラハラドキドキのストーリーが繰り広げられます。
ポンペイの豊かな生活と文化、そしてそこに住まう人々が一瞬にして火山灰の下に埋まってしまう。
その悲劇に、子どもながらに悲しく切ない気持ちになったのをよく覚えています。
私はこのお話を読んだときから「いつか絶対にポンペイに行きたい!」と思っていました。
そして今回、ついに十数年越しの願いが叶えることができて、本当に感無量な旅となりました…!

【世界遺産】ナポリの魅力|おすすめ観光スポット4選
- 参考文献
- 世界遺産検定事務局「すべてがわかる世界遺産大事典 – 世界遺産検定1級公式テキスト」, 株式会社マイナビ出版, 2016年
- メアリー・ポープ・オズボーン「マジック・ツリーハウス 第7巻 ポンペイ最後の日」, 食野雅子 訳, 株式会社KADOKAWA, 2003年04月18日